2026.01.20
まぁるい「アール(R)壁」でつくる、優しく洗練された空間
近年、リフォーム事例で人気になりつつある「アール壁」。
「アール(R)」という言葉は、建築やデザインにおいて「曲線」や「曲面」を指すラテン語のRadius(ラディウス)から派生しています。Radiusは「半径」を意味し、そこから「曲線」や「曲面」を表す言葉として使われるようになりました。
これまで「アール壁」の事例といえば、入口の垂れ壁をアーチ状にする「アール垂れ壁」が一般的でしたが、最近では、壁そのものの角をとってアールにする事例をよくみかけるようになりました。
アール壁にするとなにがいいの?
デザイン性の高さ
アール壁の魅力は、なんといってもその曲線美。壁・床・天井どれも直線・直角で構成される空間に、柔らかなカーブラインを取り入れることで、視覚的に変化と柔らかさを感じさせることができます。
角がなくなり光や陰影が美しく広がる効果は、とくにLDKなど広い空間で有効です。また廊下など狭い空間でも角が丸くなることによって圧迫感を与えず、動線も妨げない効果があります。
フォーカルポイントになる
アール壁はそのユニークなデザインにより、空間の中で自然と目を引くポイントとなります。
シンプルなインテリアにアクセントとして加え、空間全体のデザイン性を引き立てるもよし、無骨で辛口のインテリアに“はずし”としてアール壁の柔らかさを取り入れるもよし、意外とどんなインテリアにも相性よくまとまってくれます。
視線を流して、溶け込ませる
「フォーカルポイント」とは逆になりますが、アール壁は、角や段差を“切る”のではなく“丸く包む”ように仕上げるため、視線が自然と滑らかに流れます。
たとえば、既存の壁のラインから設備や梁が少しだけはみ出してしまう場面でも、四角いふかしで囲って角・段差をつけるのではなく、曲面で繋ぐことで「出っ張っている感」を薄められます。そうすることで、視覚的なノイズを減らして空間全体の印象をソフトに整えてくれます。
アール壁にすることで困ることは?
家具が置きづらい
曲線的な形状ゆえに、家具の配置が難しい場合があります。直線的な壁であれば、家具を壁や角にぴったり寄せて配置することができますが、アール壁では曲線に合わせて家具を造りつけるか、もしくは何も置かないかの二択しかなく、不便を感じることもあるかもしれません。
費用がかかる
アール壁を作るには、通常の直線的な壁よりも手間とコストがかかります。特に、壁全体を曲線で仕上げる場合、技術的な難易度が上がり費用がかかるため、予算に余裕が必要です。また、曲線を美しく仕上げるためには職人の高度な技術が求められます。
「アール壁」の事例
それぞれの事例でどのようなアールを取り入れているのかご紹介します。
アール壁
まず目に入る、廊下の流れるようにゆるやかなアール壁。キッチンのアール形状の下がり天井は、ラワン合板をはって建築化照明を。また窓に沿って流れるように段差がつけられた天井や、ロフト下のカマクラのようなアール開口など、随所にデザインされたアールがおうちの優しい雰囲気を演出しています。
この事例はこちら『マンションリフォームの無限の可能性に開眼』
リビングの天井、小上がりにあるニッチ、廊下にアールを取り入れました。左右非対称なことで視線にリズムが生まれて、シンプルで静謐なジャパンディな空間に楽しさが共存しています。
事例はこちら『和と北欧が融合するジャパンディな住まい』
キッチンに立った時に見えるアール壁は、洗面スペースを超えた洗面台を隠すため。天井のアールは浴室換気扇のダクトを隠すために取り入れました。このように規定ラインから飛び出だしてしまうものに、段差をつけずに曲線でカバーすることで空間に溶け込ませる効果もあります。
事例はこちら『想定外を魅力に変えて。ワンルーム風リノベ』LDKの一角にある書斎の壁と入口にアールを取り入れたことによって、「おこもり感」が演出されています。
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玄関入ってすぐ飛び込むスカイブルーのアール壁。このように他の壁とは異なる色にすることで、より一層存在感を際立たせるのもおすすめです。また書斎のアールの腰壁には、曲線にあわせたテーブルを造りつけました。
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玄関は、大きなアール壁をはじめ、シューズクロークまわりの角も丸く仕上げました。玄関のような狭い空間にアール壁を取り入れることで、少しでも広がりのある空間を演出することができます。
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リビングとダイニングにあった撤去できない大きな構造壁は、厚みを活かして大きなアーチ開口にしてお家の新たなアクセントに。また、ウォークインクローゼットや洗面所のアーチ垂れ壁は縁を木材で仕上げています。
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アーチ開口にぴったりとあわせた造作ドアが、“普通のおうち”とは違う雰囲気を放っています。何種類ものガラスを組み合わせたこだわりの建具で、奥に広がるお部屋の想像を掻き立てます。
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アール壁は、空間に柔らかさと優雅さを加える新しいトレンドとして注目を浴びつつあります。
デザイン性を高め、空間を優しく区切り、フォーカスポイントとしても活躍するアール壁は、どんなインテリアにも相性がよく、ワンランク上の空間に格上げしてくれます。
リフォームでおうちの間取り全体を見直すタイミングでぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?